2026年改訂後のESRS G1「事業行動」——サステナビリティ部門の外にある6つの開示
4つの社会基準は「人」について問い、5つの環境基準は「地球」について問います。ESRS G1が問うのは会社そのものです。外から誰も見ていないとき、その会社がどう振る舞うか。
そのため、G1は報告の「地理」が最も奇妙な基準になっています。気候開示の証跡はエネルギー管理システムにあり、労働力開示の証跡は人事にあります。しかしG1の証跡は、法務、調達、買掛金、渉外、そして取締役会事務局の議事録に散らばっています。互いに顔を合わせたことのない5つの部門であり、そのうち4つは自分たちが報告の範囲に入っていることを知りません。
本稿は、2026年改訂後のESRS G1「事業行動」の解説と、それぞれの開示の証跡が実際にどこにあるかの整理です。
基準の現在地
2026年7月3日、欧州委員会は改訂ESRSおよび任意基準を含む委任法を採択しました(Linklaters、Cooley)。欧州議会と理事会には2か月(さらに2か月延長可)の精査期間があり、全体を否決することはできますが修正はできません。改訂基準は2027年1月1日以降に開始する事業年度から適用され、最初の報告は2028年です。2026年1月1日開始事業年度からの早期適用も認められています(Linklaters)。
以下の記述は、採択法の基礎となったEFRAGが2025年11月に公表したG1改訂ドラフトに沿っています。最終的な段落番号は、官報公示時の正文で確認してください。
他のトピック基準と同様、G1も重要性判断に依存します。ダブルマテリアリティ評価で事業行動が重要と判定された場合に報告します。ただし実務上、大規模企業が腐敗防止やサプライヤーへの支払慣行を「重要でない」と結論づける例は多くありません。その理由はCSRDそのものよりも、この開示を誰が読んでいるかにあります(後述)。
G1が扱う範囲
基準が挙げるサブトピックは3つです。
- 企業文化 — 腐敗防止・贈収賄防止、内部通報者の保護、動物福祉を含む。
- サプライヤーとの関係管理 — 支払慣行、とりわけ中小企業(SME)への支払遅延を含む。
- 政治的影響力 — ロビー活動を含む。
その下に6つの開示要求が並びます。G1-1方針、G1-2行動、G1-3目標、G1-4腐敗・贈収賄に関する指標、G1-5政治的影響力に関する指標、G1-6支払慣行に関する指標です。
G1-1:方針と、名指しされた3つの問い
方針の枠組みはESRS 2 GDR-Pが定め、G1-1はその上に3点を追加します。国連腐敗防止条約に整合した腐敗防止・贈収賄防止方針を有しているか否か。内部通報者の保護に関する方針を有しているか否か。そして、社内で腐敗・贈収賄のリスクが最も高い職務または役割はどこか。
3つ目が厄介です。これは是非を答える項目ではありません。適用要求AR 3は「リスクが最も高い」を、その職務・責任の内容ゆえに最も曝露していると判断される役割と定義し、基準自身が挙げる例として、高リスク国で業務を行う役割と、公的機関や政府とやり取りする役割を示しています。つまり、自社の組織図に対する自社のリスクマップを公表することになります。
緩和策も一つあります。AR 2により、EU内部通報者保護指令((EU) 2019/1937)を国内法化した法規制の適用を既に受けている企業は、その旨を述べることで内部通報に関する開示に対応できます。
G1-2:行動と、調達部門が答えることになる問い
G1-2はESRS 2 GDR-Aが枠組みを定め、2つの塊を追加します。
サプライヤーについて。サプライヤー選定にESG(環境・社会・ガバナンス)のパフォーマンス要素を考慮しているなら、どのように考慮しているか。調達チームに対するESG研修があるなら、その内容。そして、サプライヤーのESGパフォーマンス改善に向けた働きかけ。研修の項目に付された「あるなら(if any)」という条件は静かに効いています。「実施していない」という回答を開示する余地を、基準自身が用意しているからです。
腐敗について。申立てや事案を予防・検知・調査・対応するための手続。G1-1で特定した高リスク職務への腐敗防止・贈収賄防止研修(取締役会・経営陣・監督機関の構成員を明示的に含む)。そして、手続や基準への違反に対して取った措置。
AR 4は、サプライヤー行動規範の存在についてESRS S2「バリューチェーンの労働者」への相互参照を認めています。使う価値があります。社会基準とガバナンス基準が、同じ文書を再記述せずに共有することを許された数少ない箇所です。
G1-4:有罪判決と制裁金、定義は厳密
G1-4が求めるのは、当該報告期間中の腐敗防止・贈収賄防止法令違反に係る有罪判決および制裁の件数と、制裁金の総額です。
定義は十分に狭く、そこが重要です。有罪判決とは刑事裁判所による確定判決であり、判決を下したEU加盟国の犯罪記録(EU域外であれば当該法域の同等の登録簿)に記載されたものを指します(AR 5)。制裁とは、行政機関または規制当局による確定処分です。制裁金とは、裁判所または当局が科した強制的な金銭的制裁で、公的財源に納付され、かつ当該報告期間中に財務諸表上で認識されたものを指します(AR 6)。
最後の一文が、この数値を監査済みの計算書類に静かに結びつけています。法務部門が案件管理表で把握している金額と、財務諸表で認識されている金額は往々にして一致しません。G1-4が求めているのは後者です。
G1-5:政治的影響力、そして取締役会に関する一文
G1-5は3つの部分からなり、3つ目で足をすくわれる企業が出ます。
第一に、直接・間接を問わず当該期間中に行った金銭的および現物の政治献金の総額。必要に応じて国・地域別に集計し、受領者・受益者の類型を付します。定義は広く、政治献金には寄付、貸付、スポンサーシップ、役務の前払、資金集めイベントのチケット購入が含まれ、現物支援には広告、施設の提供、デザイン・印刷、機材の寄贈、選出された政治家や候補者への役員就任・雇用・コンサルティング業務の提供が含まれます(AR 7)。間接献金とは、仲介組織を経由するもの——ロビイスト、慈善団体、シンクタンク、特定の政党や主義に結びついた業界団体など——を指します(AR 8)。業界団体の会費は、多くの企業がこれまで数えたことのない項目です。
第二に、ロビー活動が扱う主要テーマと、そこで取った主要な立場。自社の重要な影響・リスク・機会とその立場がどう関係するかの説明を含みます。これは報告書の他の部分と矛盾しうる開示です。E1の移行計画と、それを実効化する政策に反対するロビー活動上の立場が、同じ文書に並んで印刷される。基準はその関係を説明せよと求めています。
第三に、第15項。当該報告期間中に選任された取締役会・経営陣・監督機関の構成員のうち、その直前2年間に公的機関(規制当局を含む)で同等の地位にあった者について開示します。AR 9は「同等」を責任の水準と活動の範囲で判断するとしています。
これを出力できるシステムを持つ企業はありません。取締役会事務局への問いであり、2年分の選任記録を、当該人物の2年分の前職と突き合わせて読むことで答えるものです。しかも報告期間ごとに答え直す必要があります。2年の窓が動くからです。
G1-6:支払慣行
3項目です。主要なサプライヤー区分ごとの標準支払条件(日数)の説明。ただしSMEに適用される条件は、一般に適用される条件と異なる場合にのみ特定します。次に、その標準条件どおりに実行された支払の割合。そして、支払遅延に関して現在係属中の法的手続の件数。
難しいのは割合です。これは方針の表明ではなく、支払台帳に対する計算であり、方針が謳う水準より下に着地します。AR 10は、SMEへの支払遅延自体が重要である場合、ESRS 1第11項が適用され、企業固有の指標が必要になると付け加えています。
「重要でない」と言い切るのが難しい理由
G1のデータポイントのうち4つは、EUの他の規制に直結しています。ドラフトの脚注自身が、腐敗防止方針の開示、内部通報方針の開示、違反対応の開示、そして有罪判決・制裁金の指標のそれぞれについて、SFDR(規則(EU) 2019/2088)の適用を受ける金融市場参加者の情報ニーズを支えるものだと述べています。これらは委任規則(EU) 2022/1288の附属書I表IIIにおける追加の主要な悪影響(PAI)指標#15、#6、#16、#17に由来するからです。有罪判決・制裁金の指標はさらに、規則(EU) 2020/1816に基づくベンチマーク管理者にも供給されます。
実務的に言えば、機関投資家には自らの報告義務があり、これらは彼らが埋めなければならない欄です。マテリアリティ評価でG1を除外しても問いは消えません。アセットマネージャーからの個別照会に姿を変えるだけです。しかも先方の時間軸で届き、サステナビリティ計算書が備えていたはずの監査証跡は付いていません。
証跡は実際どこにあるか
| 開示 | 情報を持つ部門 | データポイントになる前の姿 |
|---|---|---|
| G1-1 方針・高リスク職務 | コンプライアンス、法務 | 方針PDF、未公表のリスク評価 |
| G1-2 サプライヤーESG・研修 | 調達、人材開発 | サプライヤー調査票、LMSの受講記録 |
| G1-2 腐敗対応手続 | 法務、内部監査 | 事案対応手続、調査ログ |
| G1-4 有罪判決・制裁金 | 法務、経理 | 案件管理表(財務諸表と照合済み) |
| G1-5 献金・ロビー活動 | 渉外、経理 | 買掛データ、業界団体の請求書、ポジションペーパー |
| G1-5 取締役の選任 | 取締役会事務局 | 選任議事録(前職と突き合わせて読む) |
| G1-6 支払条件・遵守率 | 買掛金 | ERPの支払実行データ |
7つの情報源。そのどれもサステナビリティのシステムではありません。これがG1の構造的な要点です。報告作業の本体は執筆ではなく収集であり、その収集は、共通の暦も、報告期間の共通定義も、サステナビリティ部門のメールに急いで返信する理由も持たない部門をまたぎます。
最初のG1サイクルを慌てずに乗り切る企業は、報告年度の「前年」に上表の行ごとに責任者を決め、各責任者が何をどの形式で引き渡すかを合意しています。これはソフトウェアの購買ではなくガバナンスの作業です。ただし、その後にソフトウェアへ何を渡すかによって、保証提供者に出所を問われたとき数値を辿れるかどうかが決まります。
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