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ISSB二年目:移行措置はすべて同時に切れ、Scope 3が加わる

Socious Team
ISSB二年目:移行措置はすべて同時に切れ、Scope 3が加わる

初めてISSB基準に沿った報告を準備しているチームの多くは、翌年には存在しない要件に向けて作業している。

基準がそう設計されている。IFRS S1およびIFRS S2は2024年1月1日以後に開始する年次報告期間に適用され、初年度を乗り切れるようにするための移行措置が置かれている(IFRS財団)。見落とされやすいのは、その形だ。すべての措置が「初年度の年次報告期間のみ」利用でき、それ以外の期間には使えない。二年目に入る時点で、一式がまとめて外れる。

ISSBとIFRS S1・S2の全体像はこちらの解説にまとめている。本稿はその続き、実務側の話だ。

五つの移行措置と、共通する一つの条件

初年度の年次報告期間において、IFRS S1・S2を適用する企業は次のことができる(Grant Thornton)。

  • 気候関連のみを開示する。 気候以外のサステナビリティ関連のリスク・機会は翌年からでよい。
  • 比較情報を省略する。 前年度の列を作らなくてよい。
  • 財務諸表より後に公表する。 関連する財務諸表と同時である必要はない。
  • Scope 3の温室効果ガス排出量を開示しない。
  • 既存の測定方法を継続する。 GHGプロトコル以外の方法で既に測定している場合、それを続けてよい。

五つに共通する条件は同じだ。初年度の年次報告期間に限られ、それ以降の期間には利用できない(IFRS財団)。

まとめて読むと、初年度の報告書の姿が見えてくる。気候のみ、単年度、比較なし、独自のスケジュールで公表、そして最大になりがちな排出カテゴリについては触れない。二年目は、同じ一覧の項目がすべて有効になった状態になる。

二年目に求められること

まず、気候以外のテーマが報告書に入る。気候優先の措置を使った企業は、二年目から、自社の見通しに影響しうるすべてのテーマについてリスクと機会を開示する。多くの発行体にとって、これは気候・サステナビリティ部門の外にある機能——人的資本、サプライチェーン、製品安全など、自社のマテリアリティ評価が拾ったもの——から初めて情報を集める年になる。

比較情報も加わる。気候優先の措置とScope 3の措置を両方使った企業は、二年目に気候関連開示の比較情報を出す。Scope 3は除く。その年に初めて報告する広義のサステナビリティ関連財務開示については、比較情報を出さない(IFRS財団)。実務上の帰結はこうなる。初年度の気候関連の数値は、そのつもりで作ったかどうかに関わらず、二年目には公表される比較値になる。

そしてカレンダーが縮む。ここを過小評価するチームが多い。公表時期の措置を使った場合、企業の最初の年次サステナビリティ開示は、次の期中財務報告と並べて公表される。つまり二年目の年次報告期間の中だ(KPMG)。二年目以降は、財務諸表と同時に公表しなければならない。初年度は実務上、数か月の余裕がある。二年目にはそれがない。初年度に第9か月あたりで余裕をもって出していたチームが、財務諸表と同じ窓で出すことになる。しかも同時に、気候以外のテーマ、比較情報の列、Scope 3が加わる。

KPMGはもう一点、見落としやすいことを指摘している。この措置は各法域の要求を上書きしないため、IFRS S1が認めていても、現地の規制当局はより厳しい期限を課しうる。

Scope 3だけは後から取り返せない

五つのうち四つは、範囲とスケジュールの問題だ。Scope 3の挙動はこれらと異なる。

Scope 1とScope 2は自社が既に持っている計器と請求書から出てくるのに対し、Scope 3の数値は仕入先、物流、顧客、販売した製品の使用段階といった他社の事業活動の中にある。集めるということは、数百の取引先に対して、彼らが集計していないかもしれないデータを、作ったことのない形式で、しかも既に終わった期間について依頼するということになる。

会計年度をもう一度生き直すことはできない。二年目のScope 3開示が、仕入先に依頼を出す前に始まっていた期間を対象とするなら、残る選択肢は二次的な排出係数と支出ベースの推計だけになる。基準上は説明可能な方法だが、保証を担当する側はそこを注意深く見る。

データ収集が工数の中心を占めるのは、この構造のためだ。Workivaが2,200人を超える報告実務者に行った調査では、83%が正確なデータの収集を業務で最も難しい部分と答えている。月単位の時間は、文章を書き始めるより前の工程に消える。

具体的な進め方はSSBJのScope 3準備にまとめている。どの基準で報告するかに関わらず、時期の論点は同じだ。収集は、報告する年ではなく、報告対象となる年の中で始める。

2025年12月の改訂が変えるもの

2025年12月11日、ISSBはAmendments to Greenhouse Gas Emissions Disclosuresを公表した。IFRS S2に対する的を絞った改訂で、2027年1月1日以後に開始する年次報告期間から適用される。早期適用も認められている(IAS Plus)。

改訂の中心は、金融機関のScope 3カテゴリ15を絞る点にある。カテゴリ15を、より広い金融活動ではなくファイナンスド・エミッション——貸出、プロジェクトファイナンス、債券、株式投資、未実行のコミットメント、運用資産から生じるもの——に限定できる。デリバティブに関連する排出は除外できる。投資銀行業務に伴うファシリテーテッド・エミッションや、引受業務に伴う保険関連排出は、この整理ではファイナンスド・エミッションの外に置かれる。

ただし、この措置を使う企業は、何をデリバティブとして扱ったのか、他にどの金融活動を除いたのかを、定性的に説明しなければならない。狭くできるのは範囲であり、説明義務はそのまま残る。あわせて、測定方法と地球温暖化係数の値に関する法域ごとの措置が延長され、細分開示に用いる業種分類体系の選択にも幅が持たされた。

この改訂は初年度措置を延長しないし、非金融企業のScope 3を先送りもしない。製造業、小売業、サービス業であれば、2025年12月の改訂は二年目のScope 3の期日をそのまま残す。

日本のスケジュールに当てはめる

日本のSSBJ基準は、時価総額3兆円以上の東証プライム上場企業について2027年3月期から義務化され、1兆円以上が2028年、5,000億円以上が2029年と続く。

最初のグループにとって、最初の義務対象年度は2026年4月に始まった会計年度だ。本稿を読んでいる時点で、すでに進行している。その二年目は2028年3月期、つまり2027年4月に始まる年度になる。比較情報の列、気候以外のテーマ、Scope 3が同時に効いてくる年だ。そしてこの年は、データを進行しながら集めておく必要がある。後から再構成しようとすると、推計に頼ることになる。

順序の詳細はSSBJロードマップにまとめている。欧州でも報告する企業は、CSRD対応の手順と併せて読むとよい。二つの制度は同じ基礎データに重なる問いを投げるからだ。テーマの範囲が次にどこへ向かうかは、ISSBの自然関連の実務ステートメントが示している。

これからの12か月で何をするか

移行措置は作業を先送りする仕組みだ。先送りした分は、二年目にまとめて来る。

初年度が進行しているうちに、次の三点を進めておきたい。

初年度の気候関連の数値を、比較値になる前提で作る。 実際にそうなる。範囲、係数とその版、判断の根拠を、判断した時点で文書化しておく。

Scope 3の仕入先との会話を、いま生きている期間について始める。 早く聞けばメール数通で済む。年度が閉じてから聞けば、後から説明しなければならない推計が残る。

決算スケジュールが公表時期の変更に耐えるか確認する。 サステナビリティ報告書が財務諸表の数か月後に出ている状態なら、同時に出すことにしたとき何が壊れるかを先に見ておく。要員の話であり、要員の話は準備期間が長い。

三つとも、報告書ではなくデータセットについての問いになる。集めてから一年経ったデータが、それ自体で説明を果たせるかどうかだ。保証を担当する側も、ほぼ同じ言葉で聞いてくる。

自社のギャップを手早く把握したい場合は、無料のSSBJレディネスチェックが数分で終わり、点数ではなく具体的な項目のリストを返す。欧州で報告する企業向けにはCSRD版がある。Socious Reportはその先——一つのデータセットからCSRD・SSBJ・ISSBの報告書を作り、その結果に独立したSocious Verifyの認証を付ける——を担う。